「奇想の系譜」伊藤若冲|日曜美術館で解説!秘密とは?

あーとん

あーとんだの。今日は「日曜美術館」の「奇想の画家たち~江戸絵画に見る“前衛芸術”~」を紹介するの!

びーさん

待って! 奇想(きそう)っていう言葉がわからないよ

あーとん

ふつうでは思い付かない変わった考え、という意味なんだよ。具体的にどんな絵なのか、番組の紹介をしながら見ていこうの

 

2019年3月10日(日)に放送される
「日曜美術館」(NHK)では、
奇想の画家たちが紹介されます。

まずはどんな内容なのか
公式サイトで確認しましょう

身の毛もよだつ凄惨な構図。ありえないような
人物描写。日本の絵画と思えないけばけばしい色彩。
かつて異端とされたアバンギャルドな絵画は
いかにして主流になったのか?そしてなぜ表舞台から
消えていったのか?その秘密に迫ります。

引用 日曜美術館公式サイト

びーさん

アバンギャルドって? やっぱり変わっているということ?

あーとん

正確に言うと、”前衛”って言うことなんだの。
因習,伝統,権威に反逆して,
表現形式の変革を試みる芸術をさすんだの。

 

びーさん

これが流行ったり、流行らなくなったりしたの?
どうして?

あーとん

いいところに目をつけたの。一緒に考えみよう。

 

今日のめあて
奇想と呼ばれる絵の流行を考えみよう

 

 

「奇想の系譜」という本が、再ブームのきっかけに。

 

1970年、美術史家の辻惟雄(つじのぶお)が「奇想の系譜」という本を書きました。今まで本や展覧会でまとまって紹介されたことのない、型にはまらない表現をした異色の作家6人をまとめた本で、彼らが何に反抗して何を描きたかったを、わかりやすく紹介しています。
いわゆる日本ではマイナーな画家ばかりでしたが、作品の革新性、独自性、斬新さが現代人の感性に訴えかけ、半世紀近く経った今では、どれも人気作家となっています。

本の紹介

●奇想と呼ばれた理由とは?

江戸時代は、室町時代から続く「狩野派」という
絵師集団が描く絵が主流でした。
幕府の後ろ盾もあり、武士好みの
型にはまった美が追求されていたのです。

ところが、それにはまらない自由な発想で
描きはじめた画家が18世紀から登場します。
あの、伊藤若冲もこれがきっかけにブームになった作家です。

びーさん

あ!伊藤若冲さんって、この間、教えてもらった人?

あーとん

そうだの!
伊藤若冲【美の巨人たち】新発見作品や桝目画の描き方も解説

 

●伊藤若冲(1716-1800)

京都の青物問屋の長男として生まれ、40歳で家督を弟に譲り画業に専念。写実と幻想を巧みに融合させ、濃密な色彩を使い精緻に描かれた花鳥画から、墨の濃淡を自在にあやつり、確かな画力を駆使して描かれた水墨画まで、個性的で多彩な作品を数多く遺している。

公式「奇想の系譜展」より引用

「象と鯨図屏風」紙本墨画 六曲一双
各159.4×354.0㎝ 1797年

びーさん

わ。鯨と象? なんだか呑気そうで和むなあ

●山中又兵衛(1578-1650)

戦国武将・荒木村重の子として生まれ、一族の滅亡後、母方姓「岩佐」を名乗り、京都で絵師として活動を始める。大和絵と漢画双方の高度な技術を完璧に修得し、どの流派にも属さない個性的な感覚に長け、後の絵師に大きな影響を与えた。

公式「奇想の系譜展」より引用

山中常盤物語絵巻 紙本着色
17世紀前半

びーさん

わ。なんだこの血まみれの侍! 絵巻物だからお話になっているんだね

あーとん

これは、昔から有名な牛若丸と、その母常盤御前のお話なんだの

●狩野山雪(1590-1651)

京狩野の狩野山楽に16歳の頃弟子入りし、その後婿養子となる。伝統的な画題を独自の視点で再解釈し、垂直や水平、二等辺三角形を強調した理知的な幾何学構図で知られる。

公式「奇想の系譜展」より引用

「老梅図」紙本金地着色 1645年ごろ

びーさん

曲がりくねった枝がすごいね。生きているみたいだよ

●曽我蕭白(1730-1781)

18世紀京都画壇の鬼才たちの中でも、最も激烈な表現を指向した。漢画を学び中国の仙人や聖人といった伝統的な故事を多く描いているが、その表現は独創的で狂気に満ち、時に見る者の神経を逆なでし、混沌の渦へと落とし入れる。

公式「奇想の系譜展」より引用

「美人図」18世紀
絹本着色 107.6×39.4c

びーさん

この女の人って・・美人なの?

あーとん

あはは。蕭白にとっては美人だったのかもしれないの

●長沢芦雪(1754-1799)

京都・篠山の下級武士の子として生まれ、円山応挙に師事。応挙が創った写生画法を忠実にたどる弟子がほとんどを占める中で、大胆な構図と才気あふれる奔放な筆法で独自の画境を切り開き、エンターテイナー的な遊び心ある個性的な作品を多数遺している。

公式「奇想の系譜展」より引用

無量寺障壁画 「虎図」紙本墨画 襖各6面の一部 1786年

びーさん

虎が飛び出て見える!

あーとん

和歌山県のお寺の襖に書かれた絵だの

 

●歌川国芳(1797-1861)

役者絵の国貞、風景画の広重と並び、武者絵の国芳として第一人者となった。戯画、美人画、洋風風景画にも発想の豊かな近代感覚を取り込む一方、役者絵や風刺画など、幕府の取り締まりをかいくぐり、機知に富んだ作品で庶民の支持を博した。

公式「奇想の系譜展」より引用

「相馬の古内裏」 大判錦絵3枚続き
1845~46年ごろ

 

びーさん

大きなガイコツが迫力ある〜。マンガみたい!

あーとん

そうだの。
市民に楽しんでもらうために書かれた浮世絵だからの

びーさん

奇想の絵って、とっても身近に感じるね。

 

 

なぜ彼らは表舞台から消えてしまった?

びーさん

なんでこんなに面白い絵なのに、忘れらされていたの?

あーとん

やっぱり時代の流れが関係あるんだの

江戸時代の末期は、武士以外の人たちも、
歌舞伎、のぞきからくり小屋など文化や
美術に触れることが多くなり、刺激的で
おもしろものを追い求めていました。

そのため画塾や工房など、個人が絵画を
教える場がたくさんありました。

ところが、
鎖国を取りやめたことにより、
どっと西洋の油絵や写真
日本に入ってきます。

近代国家を目指した明治政府は
「美術教育」をするために学校を作り
西洋を意識した美を教えることになります。

そのため、江戸時代に人気だったものは
表舞台から姿を消してしまったのです

●今日のまとめ

奇想の画家たち

  • 型にはまらないアバンギャルドな絵が多い
  • それぞれ個性を生かした絵を描いている
  • 奇想天外、想像力豊かなテーマが豊富
  • 明治に入ると忘れ去られるが、近年大ブームに

 

奇想の絵画が勢ぞろいの展覧会

「奇想の系譜展 〜江戸絵画ミラクルワールド」上記の6人の画家に、鈴木其一、白隠慧鶴が加わった

傑作が勢揃いしています
東京都美術館

2019年2月9日(土)~4月7日(日)
住所:東京都台東区上野公園8-36
開館時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)
休館日:月曜日、2月12日(火)
※ただし、2月11日(月・祝)、4月1日(月)は開室

https://kisou2019.jp

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