横山大観『紅葉』と技法や朦朧体(もうろうたい)を解説【新・美の巨人たち】

あーとん

あーとんだの。今日は「新・美の巨人たち」の横山大観『紅葉』×又吉直樹…秋だけ出会える豪華絢爛な傑作!について紹介するの!

 

2019年10月5日(土)に放送される
「新美の巨人たち」(テレビ東京)では、
琳派の巨匠・横山大観
『紅葉(こうよう)』に

又吉直樹さんが迫ります。

 

まずはどんな内容なのか
公式サイトで確認してみましょう!

六曲一双の屏風に秋の渓谷が描かれた島根県「足立美術館」の至宝『紅葉』。国民的画家・横山大観の栄光に満ちた画家人生の中で、最も豪華絢爛な作品です。燃えるような葉の赤、深い群青の川、眩い白銀の飛沫…その輝きには驚きの技が!そして飛び立つセキレイに託した大観の切なる願いとは?傑作と対峙する今回の旅人、又吉直樹さんは何を語るのか?絵画の展示という概念を根本から変える、新たな試みもご紹介します。

<Art Traveler>又吉直樹

 

この予告から気になるキーワードを
抽出すると・・・

  • 国民的画家・横山大観ってどんなひと?
  • 「紅葉」に託された願いって?
  • 足立美術館てどんな美術館?

 

 

 

 

あーとん

今回ご紹介するのはこれからの時期にもぴったりの作品!琳派の巨匠・横山大観「紅葉(こうよう)」なんだの!
秋の定番だね!

びーさん

あーとん

秋と言えばー
うーん、やっぱり食べ物かなぁ。果物とかが美味しい時期だからタルトとか食べたくなるなー

びーさん

あーとん

……そこは嘘でも芸術といってほしかったんだの
てへ☆

びーさん

 

 

 

横山大観作「紅葉」ってどんな作品?

 

 

あーとん

「紅葉」芸術の秋にぴったりな作品なんだの
(なにもそんなに強調しなくても…)

びーさん

 

〈横山大観 紅葉〉

 

あ、この「紅葉」って河と紅葉の風景だったんだね!

びーさん

あーとん

ぱっと観ただけだと空に見える、かの?
うん。でも河っていうより海みたいな青だよね!

びーさん

 

真っ赤な楓(かえで)の紅葉に
真っ青な河川。
六曲一双(ろっきょくいっそう)
この屏風
横山大観が還暦を過ぎてから
描かれた大作です。

 

白い?銀色?のもやみたいなのは雲なのかな?水しぶきにも見えるけど、高いところか見てる図だよね

びーさん

あーとん

真っ赤な紅葉が青い渓谷(けいこく)を見下ろしているような構図なんだの
キラキラして見えるから水しぶきみたいに見えるのかな?銀色の絵具が使われてるんだよね

びーさん

あーとん

正確には白金(はっきん)、つまりはプラチナの箔と、箔を粉々にして粉末にした砂子(すなご)をまいて膠(にかわ)で固定させているんだの
え、プラチナって絵具になるの!?

びーさん

 

〈白金箔〉

 

〈箔を粉状にしている様子〉

 

〈膠〉

 

あーとん

ちなみに砂子は日本の伝統的な絵具でもある岩絵具の元でもあるんだの

 

〈岩絵具〉

 

岩絵具って言葉は知ってたけど、粉でできてるんだね!知らなかったよ

びーさん

 

日本の伝統的な絵具である
岩絵具
主に鉱石(こうせき)を砕いた粉末
と呼ばれるゼラチンを混ぜて
液状にしてから使用します。

 

〈白金泥〉

 

あーとん

粉末の大きさによって色が変わったり、膠の分量だったりで色が変化するんだの
へー、面白い!

びーさん

あーとん

色の成分は、画家によっては企業秘密だったりもするんだの
そっか、混ぜて作るってことはオリジナルの絵具になるんだね!

びーさん

 

〈粒の大きさによって変わる色合い〉

 

「紅葉」に使われている
箔や砂子を
貼り付けたりするこの技法
蒔絵
よく使われている技法でもあります。

 

〈蒔絵 八橋蒔絵螺鈿硯箱(やつはしまきえらでんすずりばこ)〉

 

あれ、この箱前も見た気がする…

びーさん

あーとん

横山大観と同じく琳派の一人、尾形光琳の作品だの
尾形光琳『燕子花図屏風(かきつばたずびょうぶ)』の公開日や意味は?【新・美の巨人たち】
えーと、自分で勉強して琳派になる、だっけ?

びーさん

あーとん

覚えていてくれて嬉しいんだの。この作品にが蒔絵に使われる技術の他にも琳派ならではの技法である「たらしこみ」も使われているんだの

 

〈「紅葉」アップ〉

 

「紅葉」に描かれている
木の幹の部分
ここに使われているのが
「たらしこみ」の技法です。

 

あーとん

簡単に言ってしまえば、たらしこみ」ぼかしにじみのことなんだの
にじむって、失敗なイメージがあるんだけど

びーさん

あーとん

琳派と呼ばれる彼らはそれを自由自在にコントロールして描いているんだの
狙った所が綺麗ににじむって、すごいよね、やっぱりコツがあるんだろうなぁ

びーさん

 

楓の赤々とした紅葉から始まり
しぶきの立ち上る滝に
一羽のセキレイが羽ばたく
横山大観「紅葉」

左隻今までの日本画を表し
紅葉する楓は大観自身を、

そして右隻はで
空へと羽ばたく若いセキレイを
これからの若手に例えた作品
と言われています。

 

あーとん

横山大観は日本画を代表する画家だの。本人の実積もさることながら、日本画の未来を背負っている自覚も強くて、元々あった伝統を大切にしながらも新しい技術をどんどん取り入れていく人だったんだの
このお話しを聞くと横山大観ってひとがどんな人なのかも気になってくるよね!

びーさん

あーとん

いい感じのアシストがあったのでさっそく横山大観の人物紹介にいこうかの

 

 

横山大観ってどんな人?

 

名前:横山大観
本名:横山秀麿(ひでまろ)
生年月日:1868年9月
*生年月日については諸説あり
死没:1958年2月26日89歳
活動時代:明治~昭和
表現実績:日本画
ムーブメント:琳派(りんぱ)

 

横山大観は1868年
ちょうど江戸から明治へ
移り変わる年に生まれました。

 

今年みたいに平成から令和に変わったタイミングに生まれたってことだよね

びーさん

あーとん

令和ベイビーならぬ明治ベイビーなんだの

 

1896年から自身が卒業した
母校・東京美術学校で
助教授となりますが
学内での対立が原因で
辞めてしまいます。

 

対立なんてあったの?

びーさん

あーとん

ちょうど美術界わいがゴタゴタしていた時期だったんだの。いわゆる派閥争い、簡単に言えば各グループごとで意見が別れていてまとまりきらず、大観の師匠である岡倉天心(おかくらてんしん)が辞職する事になってしまったんだの
先生についていったってこと?

びーさん

あーとん

岡倉天心が辞職するならと、20名以上のメンバーがそろって東京美術学校を辞めてしまったんだの
うわぁ

びーさん

 

〈岡倉天心〉

 

師匠・岡倉天心と共に
東京美術学校去った大観は
他のメンバーらと共
新しく日本美術院という
団体を設立します。

〈日本美術院主催 院展〉

 

院展って、聞いたことあるよ!芸能人の絵がよく話題になってなかったけ?

びーさん

あーとん

それは二科展だの
あれ、違うの!?

びーさん

あーとん

「二科展」「院展」「日展」この3つが日本三大展覧会なんだの

 

岡倉天心を中心とした
新しい団体で
大観絵を研究
作品を発表して行きます。

 

あーとん

そこで忘れてならないのが「朦朧体(もうろうたい)」なんだの
もうろうたい?

びーさん

あーとん

ちょっと長くなるので、大観の他の作品と一緒に別トピックスで紹介していこうかの
あれ、人物紹介はもうおしまい?今回短いね

びーさん

あーとん

本当は大観が無類のお酒好きで毎日飲んでいたエピソードとか、親友・菱田春草(ひしだしゅんそう)との関わりとかも紹介したかったけれども、「朦朧体」について知って欲しいから以下省なんだの
えっー、そっちも気になるよ!

びーさん

あーとん

スマホで大観、お酒と入力して検索検索~♪だの
ごまかした!

びーさん

 

 

 

朦朧体(もうろうたい)ってなに?

 

 

横山大観を語る上で
忘れてはならないのが
「朦朧体(もうろうたい)」です。

 

あーとん

びーさんは言葉だけだとどんなイメージがわくかの?
うーん、もうろうとしてる、と同じ意味だとしたら曖昧(あいまい)?ボンヤリ?な感じかな

びーさん

 

朦朧体、とは
輪郭線(りんかくせん)をとらずに
色彩の濃淡で物を表す
技法の事です。

 

輪郭線(りんかくせん)をとらない?

びーさん

あーとん

例えば山と川を描くとすると、山は山の形にして線を引いて、川は川の形で線を引くとここは山、ここは川、と境界線ができるんだの。大観を始めとした人達はこの境界線をぼかしや色彩の変化だけを使って絵を描いたんだの

 

〈横山大観 朧月〉

〈菱田春草 菊慈童〉

 

輪郭線が無いと言われればそうもみえるけど、色だったり空気感だったりが区切り?境界線?になってるよね

びーさん

あーとん

大観や春草といった日本美術院のメンバーが線による仕切りを無くした絵を発表した時、「おばけみたい」「もうろうしている」とかなり批判されたんだの
えっ、もしかしてこの朦朧体って

びーさん

あーとん

そう。批判が元で名付けられた技法なんだの

 

この「朦朧体」
今では当たり前のように
使われている技法ですが
発表された当時の評価は厳しく
発色のいい絵具を見つけたりと
研究を重ね、徐々に
評価されていくようになりました。

 

あーとん

大観達の作品を評価してくれたのはアメリカやヨーロッパといった国外が最初で、それを受けてようやく日本でも認められるようになったんだの
うーん、新しいことに積極的に取り組んでた油絵とはなんか全然ちがうね

びーさん

あーとん

まぁ、急激な変化に戸惑いが大きかったのと、日本画とはこうだといった強いイメージがあって中々受け入れられなかったんだの
今では当たり前の技術なんだもんねー

びーさん

 

海外での好評もあり
大観は積極的に
作品を発表して行きます。

 

〈流燈〉

〈夏之不二〉

〈夜桜〉

 

あ、この富士山はなんかデザイン的だね。前に紹介してもらった琳派って感じがする

びーさん

あーとん

ちなみに、大観は生涯で1500点以上もの富士山を描いているんだの
せっ、せんごひゃく!?

びーさん

 

〈龍興而到雲〉

〈龍踊る〉

 

作品紹介でお話した
「紅葉」を始めとした
大観の作品の多くは
島根県にある足立美術館
観ることができます。

〈足立美術館〉

 

あーとん

「紅葉」は秋の時期限定で毎年公開されているんだの
季節感もそうだけど芸術の秋にぴったりな作品だね!

びーさん

あーとん

今季はすでに公開されていて、11月3日まで足立美術館の大観専用の展示室・大観室で展示中なんだの
えっ、大観専用展示室なんあるの!?

びーさん

あーとん

足立美術館のそもそものコンセプトが「庭園と横山大観コレクション」なんだの

 

 

 

 

「紅葉」と足立美術館の関係って?

 

 

島根県にある足立美術館と言えば
東京ドーム3.5個分もの広さをもつ
「庭園」が有名です。

 

〈足立美術館 庭園 枯山水庭〉

 

おお!まさに絵の世界だよね!綺麗!

びーさん

あーとん

海外の雑誌で日本の好きな庭園第一位を16年間も取り続けているぐらい、国内・海外共に大人気の美術館なんだの

 

足立美術館に併設された
庭園は全部で6つ
「庭園もまた絵画の一つ」という
美術館の創設者・足立全康(ぜんこう)
の信念の元造られたそうです。

 

〈足立全康〉

 

あーとん

日本人に馴染みのある四季折々の風景の中で、日本画を観賞する。美術館そのものが絵画の一つなっているよう美術館なんだの

〈苔庭〉

〈白砂青松庭〉

〈池庭〉

〈鶴亀の滝〉

 

あーとん

ちなみに鶴亀の滝は人口に造られた滝なんだの
凄いこだわりだね!

びーさん

 

そして
足立美術館のもう一つ目玉が
世界一とも言える
横山大観コレクション
です。

 

あーとん

今回紹介した「紅葉」も足立美術館のコレクションの一つだけれども、元々は別の場所にあったものを足立全康さんが2年間かけて相手を説得して買い取っというエピソードがあるんだの
2年って、凄い執念だね

びーさん

 

1978年に名古屋で行われた
大観展「紅葉」を観賞し
とても感動した足立全康は
ぜひこの作品を手に入れようと
説得に説得を重ね
「紅葉」を含めた
20点あまりの作品を
購入するに至りました。

 

全康さんは横山大観の大ファンだったってことだね

びーさん

あーとん

専用の部屋作って展示している辺り、熱の入れ方がちがうんだの
美術館を建てちゃう人って、みんな美術作品が好きで情熱的な人が多いよね

びーさん

あーとん

もちろん、メインとなる横山大観の作品の他にも日本画の巨匠達の作品が数多く展示されているんだの
季節ごとでお庭と作品を楽しめる、素敵な美術館だよね!島根といえば出雲大社って思ってたけど、足立美術館もぜひ行ってみたいな!

びーさん

あーとん

JR安来駅から無料のシャトルバスも出ているから、足立美術館をた訪ねるさいはHPをきちんとチェックしてほしいんだの

 

 

 

 

 

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