アルフォンス・ミュシャのポスター『モナコ・モンテカルロ』解説【新・美の巨人たち】

あーとん

あーとんだの。今日は「新・美の巨人たち」のミュシャが手掛けた鉄道ポスター『モナコ・モンテカルロ』×要潤について紹介するの!

 

2019年9月7日(土)に放送される
「新美の巨人たち」(テレビ東京)では、
ポスター絵画に革命を起こした
アルフォンス・ミュシャ
『モナコ・モンテカルロ』
要潤さんが迫ります。

 

まずはどんな内容なのか
公式サイトで確認してみましょう!

今回の作品は、アルフォンス・ミュシャが120年前に制作した鉄道会社のポスター。描かれたのは、うら若き美女、美しい花々、鳥、画面に円を描くような花環。なぜ鉄道が一切描かれなかったのか?スピリチュアルな世界への興味が強かったミュシャが神聖さを追求した先に目指したものとは?また旅人・要潤さんをミュシャの世界観で描くことで画家のこだわりが明らかに!さらにクリエイター箭内道彦さんがミュシャの面白さを分析します。

<Art Traveler>要潤

 

この予告から気になるキーワードを
抽出すると・・・

  • モナコ・モンテカルロってどんな作品?
  • アルフォンス・ミュシャってどんな人?
  • ミュシャの作品には他にどんなのがあるの?

 

 

あーとん

という事で今回ご紹介するのはアルフォンス・ミュシャが描いた鉄道ポスター『モナコ・モンテカルロ』なんだの
鉄道のポスター?っていうよりは女神様?みたいなポスターだよね

びーさん

あーとん

いいところに気がついたんだの!では、まずはこの作品の紹介からいこうかの

 

 

「モナコ・モンテカルロ」ってどんな作品?

 

 

あーとん

さて、びーさん。まずはモンテカルロってなんだと思うんだの?

 

〈アルフォンス・ミュシャ モンテカルロ〉

 

へっ!?えーと、この絵?ポスターに描かれた女の人の名前、とかかな?

びーさん

あーとん

ふむふむ
あーとんがその反応ってことは不正解かぁ

びーさん

あーとん

落ち込む事はないんだの。ちなみに、びーさんはこの女の人がこのポスターのメインだと思って名前だと思ったんだの?
うん。今まで紹介してもらった作品のなかにも人物の名前が使われていた事もあったし

びーさん

あーとん

色々覚えててくれて嬉しいんだの
それで、正解は?

びーさん

あーとん

名前は名前でも都市の名前なんだの!
ええっ!?都市の名前なの!?

びーさん

 

モンテカルロ
世界で2番目に小さい
モナコ公国中心都市
フランス語で
「シャルル三世の山」
という意味がります。

 

〈モンテカルロ〉

 

 

この「モナコ・モンテカルロ」
という作品
は鉄道会社が
モナコの都市・モンテカルロの
宣伝のためにと
アルフォンス・ミュシャに依頼して
描かれたポスターです。

 

あーとん

びーさんが驚いた理由を教えて欲しいんだの
だって、町の風景なんて描かれてないし、花は描かれてるけど種類もいっぱいあるし、前回の「秋の行事」みたいには描かれてなかったから

びーさん

あーとん

びーさんは作品を良く観てくれてるんだの。では、「モナコ・モンテカルロ」に描かれている植物が何か、まずはそこからだの

 

今回ご紹介する
「モナコ・モンテカルロ」
描かれている植物4種類

 

シクラメン

ダイアンサス(ナデシコ)

ライラック

ザクロ

 

モンテカルロで有名な花なの?

びーさん

あーとん

モンテカルロは観光地として有名で、植物園や水族館なんかも充実してるんだの
特には関係ない?

びーさん

あーとん

ところが、花にまつわるお話をみてみると関係ないとも言えないんだの

 

びーさんの言うように
一見するとモンテカルロの
宣伝とは関係ないように見えますが
全くの無関係ではありません

例えばシクラメン
花や茎が成長するときの姿が
丸まっていることから
ギリシャ語で「回転」を
意味する名前がつけられた
と一説には言われています

 

あーとん

英語で言う自転車、つまりサイクルの語源キクロスから来てるという説もあったそうだの
「回転」が関係してるの?

びーさん

あーとん

電車も車も自転車も車輪やタイヤが回って動いているんだの
なるほど!そういえばこのポスターの植物も丸く描かれてるしなんか車輪みたいに植物同士が繋がって見えるね!

びーさん

 

〈蒸気機関車の車輪〉

 

他の植物は?

びーさん

あーとん

ダイアンサスはギリシャ語で「神聖な花」という意味を持っていて、ライラック春を代表する花で花言葉に「思い出」という意味を持っていたり、ザクロ「復活」や「神聖」を意味してるんだの
なんかやっぱり女神様?

びーさん

あーとん

ミュシャが描く女性は神秘的な意味合いが強いんだの

 

「モンテカルロ」に描かれた女性は
ミュシャ
再生や希望、憧れのシンボルとして
良く描いたポーズをとっています。

 

あーとん

この女性は再生や復活を意味する風の精で、この地域では春を運んでくるのは風とされているんだの
お花も春の花だったね!

びーさん

あーとん

そして、モナコ自体が観光地として経済を復活させた歴史を持つことからミュシャがイメージしたモンテカルロが復活や再生なんだの
なるほど!歴史を絡めたポスターだったんだね!

びーさん

あーとん

風の精の背景に描かれた風景はモンテカルロそのものなんだの

 

〈モンテカルロ背景アップ〉

 

そして右下に書かれている文字には
鉄道会社の頭文字PLM
パリからモンテカルロまで16時間
必要最低限の情報しか書かれていません

 

こう言われるとなんか不思議なポスターだね。実際の風景じゃなくてイメージがメインのポスターって

びーさん

あーとん

ミュシャの描くポスターは当時としては画期的で、ミュシャのポスターが町に貼られるとはがして持っていく人もいたらしいんだの
ダメなことなのは分かるけど、持っていちゃう人の気持ちも分かるなぁ。お部屋に飾りたくなるポスターだもん

びーさん

あーとん

今も昔も人気作家で、日本では十年と開けずにどこかの都市で展覧会が行われているぐらい人気なんだの

 

 

アルフォンス・ミュシャの作品ってどんなのがあるの?

 

 

さっきのはポスターだったけど、他にはどんな作品があるのかな?

びーさん

あーとん

ではでは、ポスター革命を起こしたアルフォンス・ミュシャの作品を色々紹介していくんだの!

 

ミュシャの描く作品の
特徴と言えば
宝石や星、そしてなにより
花や植物と女性です。

 

あーとん

アルフォンス・ミュシャが活躍した時代が1900年代この頃の流行りと言えば?
えっ!?急に来たね!

びーさん

あーとん

くねくねした植物に装飾~
あ、アール・ヌーボー

びーさん

あーとん

正解なんだの

 

ミュシャポスター装飾品
舞台美術などを多く手掛けています。

四季を擬人化した
装飾パネルの連作や
〈四季の連作 秋〉

宗教画として描かれた作品
〈百合の聖母〉

挿し絵として描かれた版画
〈トリポリの姫君イルゼ〉

49歳の時に生まれた
娘をモデルにした作品も多くあります。
〈ヤロスラヴァ〉

そして
忘れてならないのがポスター作品
〈メディア〉

 

あーとん

このポスターはギリシャ神話を題材とした舞台のポスターなんだ

あーとんが頻繁に展覧会が行われてるって言ってたの分かる気がする。なんかね、漫画に似てるよね

びーさん

あーとん

馴染みがあるというのも人気の一つかもあしれないんだの。それにミュシャの作品を参考にしてデザインをしたりしている作家さんは今でも多いんだの
そっか、画家っていうよりイラストレーターみたいな感じがするから親しみやすいのかな?

びーさん

あーとん

なかなか鋭い指摘だの
やっぱり元々はイラストレーターさん?

びーさん

あーとん

ではでは画家の紹介で詳しく説明するんだの

 

 

アルフォンス・ミュシャってどんな人?

 

 

 

名前:アルフォンス・ミュシャ
生年月日:1860年7月24日
出身地:チェコ
死没:1939年7月14日(78歳)
活動拠点:パリ・チェコ
表現実績:絵画・装飾美術・イラストレーション
ムーブメント:アール・ヌーボー

 

アルフォンス・ミュシャ
1860年7月、現在のチェコの生まれ。
19歳の時にウィーンに渡り
舞台装置の工房で働きながら
デザインの学校に通っていました。

 

あーとん

そうそう。ミュシャは最初は音楽家になりたかったらしいんだの
ええ、意外!

びーさん

 

25歳の時に援助を得て
ミュンヘン美術学院に入学。
卒業後も私塾に通うなどして
絵の勉強を続けています。

 

すごく努力家な人だね

びーさん

あーとん

そんな努力家のミュシャだからこそ、千載一遇のチャンスをしっかりと掴んだんだの
せんざいいちぐう?

びーさん

 

ミュシャ
一躍有名にさせた作品が
舞台ポスター「ジスモンダ」です。

 

〈ジスモンダ〉

 

 

あーとん

とある新聞社でイラストレーターをしていたミュシャ人手が足りなくて描いたポスタがこの「ジスモンダ」なんだの
これがすごく良かったから人気になったんだ

びーさん

あーとん

描かれた女優さんがフランスで一番の人気者で、ミュシャの書いたポスターを特に気に入って、「これからも私を描いて」と言われて6年間描き続けたんだの
一番人気の女優さんにそんな事言われたら、一気に人気者の仲間入りだね!

びーさん

 

ポスター絵画で一夜にして
人気作家となったミュシャ
その後も積極的に制作を続けます。

デザインの傑作
とも言われるポスター作品
である「椿姫」を始め
〈椿姫〉


万博の広告
を手掛けたり
〈パリ万博オーストリア館のポスター〉

そして
ミュシャの代表作として言える
最大8メートルの大きさにもなる
全20作に及ぶ壁画
「スラブ叙事詩」

〈スラブ叙事詩 原故郷のスラブ民族〉

〈スラブ叙事詩 スラブ民族の神格化〉

 

あーとん

スラブ叙事詩の制作時期に、ミュシャの故郷がオーストリア帝国から独立したのもあって紙幣デザインなんかも手掛けているんだの
こんな大きな壁画も作りながら色んなデザインも手掛けてたんだね!忙しかったんだろうなぁ

びーさん

あーとん

紙幣や切手といった国に関わるデザインのお仕事に関してはお給料はもらってないんだの
ええ!?タダ働き!?

びーさん

あーとん

新しく国になった故郷のために何かしたかったんだと思うんだの

 

しかしながら、
オーストリア帝国から独立した
チェコスロバキア
ナチスドイツの進軍により
1939年に解体されてしまいます。

 

あーとん

ミュシャ自信もナチスドイツに逮捕され、厳しい尋問を受けているんだの
えっ、なんで逮捕されちゃうの?

びーさん

あーとん

ミュシャは人気作家であり、母国のために無償で色んなデザイン手掛けた人だの
うん。忙しい合間で頑張った人だよね

びーさん

あーとん

そんなミュシャの絵は愛国心をあおるから、つまりナチスドイツにとってはせっかく征服できたのに、また反乱なんて起こされたら困るからミュシャを捕まえて反乱するつもりはないかしつこく確認したんだの
それって、ものすごく辛い事だよね

びーさん

あーとん

当時78歳のミュシャには相当こたえたようなんだの。実際、釈放はされたけどその4ヶ月後にミュシャは亡くなってるんだの
悲しいしなんか悔しい気もするし、すごく切なくなるお話だね

びーさん

あーとん

それでも、ミュシャの作品は今でも語り継がれ、今でも色んな国々の人々から愛されている作家なんだの

 

現在、東京・渋谷にある
Bunkamuraザ・ミュージアムにて
ミュシャと
ミュシャに影響を受けた作家たちの作品
約250点あまりを展示している
展覧会が開催されています。
〈みんなのミュシャ展〉

あーとん

ミュシャの時代から今までの影響力がどれだけすごいかよく分かる美術展なんだの
ゲーム・FINAL FANTASYのイラストレーターとして有名な天野喜孝(よしたか)さんの作品も展示されてるよ!

びーさん

あーとん

アクセスしやすい環境でもあるから、ふらりと気軽に立ち寄ってみて欲しいんだの

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です