あーとん
今日は、トリックアートで有名なエッシャーを紹介するの
2019年5月19日放送の「日曜美術館」(NHK)では、
エッシャーを紹介します。
まずは、その内容を
公式サイトで見てみると・・
永遠に流れ落ちる滝や、無限に続く階段を上る僧侶など、ミステリアスなだまし絵で有名なエッシャー。それはただのトリックアートなのか?謎多き作家の全貌に迫ります。学校では落第生。建築家になる夢も挫折。そんなエッシャーの前に現れたのは、超個性的な作品を残した版画家、メスキータ。やがてエッシャーは、唯一無二の世界を切り開いて行きます。
この予告から気になるキーワードを抽出すると・・
- ただのトリックアートではない!?
- 学校では落第生。
- 謎多き作家。唯一無二の世界。
びーさん
あーとん
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![](http://image.moshimo.com/af-img/2788/000000050939.jpg)
エッシャーとトリックアート
トリックアートってなに?
不思議な絵のこと?
びーさん
あーとん
先に絵を見てみようかの。
『相対性』1953年
びーさん
あーとん
『昼と夜』(1938年)
よく見ると流れる河も、建物も反転しているんだ!
びーさん
この不思議な絵がトリックアートです。
難しい美術用語では
トロンプ・ルイユと呼ばれます。
あーとん
建築物のモチーフが多いことでも有名だの。
『滝』1961年
ところでこれは、どんな画材で描いているの?
びーさん
あーとん
エッシャーの作品は、直接紙に描いているのではなく、実はすべて版画なんだの
びーさん
あーとん
『ドローイング・ハンド』1948年
エッシャーは自分のことを
美術家や画家ではなく、
版画家と名乗っていたそうです。
名前:マウリッツ・コルネス・エッシャー
生年月日:1898年6月17日
出身地:オランダ
表現方法:版画
エッシャーは、
最初は建築の学校に入り、建築家を目指しますが、
体が弱かったこともあり、成績が悪かったそうです。
そのため、建築家を諦め、
装飾芸術を学び直そうとしたときに、
版画家のメスキータと出会います。
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![](http://image.moshimo.com/af-img/2788/000000050939.jpg)
エッシャーと版画家・メスキータの関係は?
版画家であるメスキータは、
エッシャーの装飾美術の才能を見抜き、
版画技術を教え始めた人物です。
『サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ メメント・モリ(頭蓋骨と自画像)』(1926年)/メスキータ作
名前:サミュエル・ジェスルン・デ・メスキータ
生年月日:1868年6月6日
没年:1944年2月11日(アウシュビッツ)
出身地:オランダ(アムステルダム)
メスキータはポルトガル系ユダヤ人の
家庭に生まれました。
父親は古典言語とヘブライ語の教師で、
兄:ジョセフ・ジェッスルン・ド・メスキータ
姉:アンナ・ジェッスルン・ド・メスキータ
のいる、末っ子でした。
小学校から絵の才能を発揮し、
兄弟も芸術センスに長けていたそうです。
彼はSpringerの建築事務所で
学生としてトレーニングをし
19世紀後半の建築様式の特徴である
装飾品のドローイングの精巧さに
魅了され、技術を高めました。
1893年頃から作品の制作をスタートさせ
新しいデッサンの技術を開発したことから
1902年にハールレムの応用美術学校で
教師となります。
新しいデッサンの技術を習得したのは
建築の装飾のドローイングを
身につけ、鍛錬したことによります。
『ワシミミズク』(1915年)/メスキータ作
びーさん
1917年には
グラフィックアートの振興のために
協会の取締役となったメスキータの
もっとも有名な教え子が、
エッシャーだったのです。
メスキータとエッシャーの師弟関係は、
エッシャーが学校を
卒業してからも続きました。
残念ながら、メスキータは
第2次世界大戦中に一家全員
ナチスに強制収容所へ連行され、
そこで亡くなったそうです。
エッシャーはエスキータの作品を
生涯大事にしていたと言われています。
自分の才能を見出してくれた
メスキータは、エッシャーにとって
いつまでたっても心の師匠だったのでしょう。
![](http://image.moshimo.com/af-img/2788/000000050939.jpg)
エッシャーと模様の出会い
1922年に、エッシャーは
アルハンブラ宮殿を訪れます。
偶像崇拝が禁止されている
イスラム教の建物は彫刻などがなく、
抽象的な模様で装飾を施しています。
メスキータの弟子として
建築装飾を勉強していたエッシャーは、
その規則性や幾何学文様など
「無限に続くパターン化された美」に
魅せられます。
あーとん
びーさん
あーとん
『メタモルフォーゼⅡ』1939-1940年の一部
この作品は、全く同じ形をした魚が
隙間なく規則的に並べられています。
エッシャーは、結晶学や数学の本を読み、
それについて独自の理論を持っていました。
独自の理論を生かしながら
規則性や循環されるものを、
美として表したのが、エッシャーの作品です。
特に結晶学からヒントを得た
「正則分割(せいそくぶんかつ)」
(同じ形のものが反転、回転されながら、
平面を埋めていく版画の手法)
を極めていき、
規則性を基本にしながら、
いつの間にか変容しているものを
描くことも得意としていました。
『空と水 1』1938年
晩年最後の傑作も、
円のなかの幾何学模様の連なりと
蛇の三回転対称図形をモチーフにしています。
『蛇』1969年
「永遠に巡回する美」を表現した
エッシャーの絵は、
美術愛好家だけでなく
化学者や数学者、建築家にも
愛されることも多かったのです。
![](http://image.moshimo.com/af-img/2788/000000050939.jpg)
エッシャーの展覧会の予定は?
2018年のエッシャー生誕120年を記念して、
日本では、2018年から日本各地を巡回する
「ミラクル エッシャー展」が
開催されています。
2019年5月現在では、
愛媛県美術館で実施中です。
愛媛県美術館
(JR松山駅より道後温泉または松山市駅行き市内電車で5分)
休館日:5月20日(月)、27日(月)
6月4日(火)、10日(月)
また、エッシャーの生まれ故郷のオランダには、
エッシャー美術館(Escher in het Paleis)があります。
(ハーグ市立美術館の別館としてオープンした美術館)
エッシャー美術館
住所:Lange Voorhout 74, 2514 EH The Hague
(ハーグ中央駅からはトラム15番・16番利用。Korte Voorhout下車)
開館日:火曜日~日曜日・祝日
開館時間:午前11時~午後5時
休館日:祝日以外の月曜日、1月1日、12月25日
エッシャーの師匠である
メスキータは、
あまり知られていない名でもありますが
2019年6月から
東京ステーションギャラリーで
展覧会が開催されます。
メスキータ
Samuel Jessurun de Mesquita
会期:2019年6月29日〜8月18日
会場:東京ステーションギャラリー
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1
電話番号:03-3212-2485
開館時間:10:00〜18:00(金 〜20:00)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし7月15日、8月12日は開館)、7月16日
料金:一般 1100円 / 高校・大学生 900円 / 中学生以下無料
※7月20日〜31日は東京駅周辺美術館学生無料ウィーク(学生証提示で入館料無料)